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進撃の巨人14巻をわかりやすく解説してみた(考察・ネタバレあり)

進撃の巨人(14) (週刊少年マガジンコミックス)

だんだん話が複雑になって来た進撃の巨人。話を整理しながら考察を試みてみました。ネタバレを含むので、知りたくない人は読まないように気をつけてください。 

今回は進撃の巨人14巻の解説と考察です。14巻では、エルヴィンの目論むクーデターの詳細や、ヒストリアの生い立ちの真実が明かされたりと、これから大きく動いていく話の展開の始まりになっています。また、リヴァイたちと対人部隊の戦いもあり、巨人ではなく人と殺しあうシーンもあり複雑な心情でした。14巻の最後は、また謎が増える形で、この先がとても気になる終わり方でした。

 

前回までのあらすじ

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13巻では、コニーの村の一件で巨人の正体は人間だということが分かりました。また、ウォールマリアの壁を塞ごうとエレンの硬質化の実験が行われたり、リーブス商会と協力することになり、最後はエルヴィンがクーデターを企てるところで終わりました。その続きを追ってみます。

クーデターは起こすべきか?

エルヴィンとピクシス司令が話し合うところから始まりますが、もし武力で革命を行えばこれまで保ってきた秩序が乱れることを懸念しています。

  • クーデターを行う
  • 秩序が乱れる

ここまででは、このような話をしています。

ただ暴力でクーデターを起こしてもその後の秩序が乱れる可能性が高そうなので、ピクシス司令は反対しています。例えば、多くの民衆が王政に対して耐えられないほどの強い不満を抱いていて、民衆が一体となってクーデターを起こすのならまだしも、今回は主に調査兵団たちだけで起こそうとしています。民衆は特に暴動を起こしたりはしておらず、今は秩序が保たれています。それなら、たとえ王政に悪いところがあったとしても、暴力によるクーデターで秩序を乱すよりはマシだとピクシスは考えます。フランス革命の時は絶対君主制の支配があったり、ルソーなどの思想が国民に広まっていたりして、国民全体で動いてる感がありました。今回、調査兵団が武力で王政を倒すとなると、それでは革命ではくテロリストになってしまいそうです。

壁に移り住んだ107年前

その後は、エルヴィンの子供の頃の話になりました。ここで重要なのは父親の仮説です。なぜ、壁の中に逃げ込んだ人類は元いた世界のことを全く知らないのか。わずか107年前の出来事であれば、歴史書などなくても人から人へと口づてに伝えることができるはずです。日本でも昔、「語り部」という人たちが人から人へ神話や歴史を語り継いでいました。天皇の系譜や神話・歴史といったことを稗田阿礼(ひえだのあれ)が暗唱し、太安万侶(おおのやすまろ)が書いて記録したのが「古事記」でした。となると、人から人へ話を語りついでいくことはできそうです。

今から107年前となると、今年が2017年なので1910年(明治43年)です。その当時は韓国併合などが行われた頃なのでそんなに昔のことではありません。こう考えると、わずか107年前の出来事なのに誰も壁の外の世界のことを知らないというのは明らかにおかしいということが分かります。

エルヴィンの父親の仮説

この矛盾に対してエルヴィンの父親の立てた仮説が、

  • 人類は王政に記憶を改竄(かいざん)された

 というものです。だから人類は誰も壁の外の世界を覚えていないということです。一見あり得ないような話ですが、この話をしていたエルヴィンの父親は遠くで事故にあって死んでいます。実際は殺されたということですね。殺されたということが逆にこの仮説が真実であるということを裏付けているようにも思います。そうなると、人類は王が支配しやすいように記憶を改竄された、ということでおそらく間違いないでしょう。

次に、エレンが巨人を操ったことに話は移りました。ポイントは、王政の干渉が激しくなったということです。王政がエレンの力を欲している。それには何か大事な理由があるのかもしれない。人類を巨人から守るために必要だからなのかもしれない。それなら王政にエレンを託した方が良いのではないか一旦はそう考えます。

王都に行ったエルヴィン

しかし、王政と話してきたエルヴィンはそうではないと言います。13巻では、王都に行ったエルヴィンが何かを思い、エレンたちに指示の手紙を送りましたが、エレンたちは驚いた様子でその手紙を読んでいました。そこからはエレンたちはリーブス商会と手を組み、ニックを殺した中央憲兵のサネス等を捕まえる、という流れへと進んで行きました。一体、王都に行ったエルヴィンは何を思い、どんな指示をしたのか気になっていましたが、ようやくここで王都に行ったエルヴィンの様子が描かれます。

利権の亡者たち

 エルヴィンは父親が殺されたことの正当性を確かめたかったようですが、王政の役人はただ自分の地位と財産が大事なだけでした。エルヴィンの父親を殺したりして真実を隠すことには何の大義名分もなく、ただ王政の役人たちの私利私欲でしかないことが分かりました。ここの描写が生々しくてリアルです。エルヴィンが王政の役人たちと話しているコマなのですが、役人たちの三人の口元が描かれていて、欲に溺れた人間たちの醜さがとてもよく伝わってきます。

 

これが5日前のことでした。

なので13巻から続くこの流れの時系列を整理すると、

 

王都に行ったエルヴィン(5日前)は、王政は私利私欲でしか動いていないと知り、

エレンたちに何かの指示の手紙を出しました。その後、リヴァイたちはリーブス商会を捕らえて中央憲兵について聞き出し、ニックを殺した中央憲兵を拘束、拷問をします。そして、ピクシス司令とクーデターの話をする(現在)。

という流れで今にいたっています。 

 

そしてエルヴィンとピクシス司令の会話の中、エルヴィンの部下が手紙を持って来て、話は数時間前に時間が戻ります。

その後の流れは、

 

捕らえた中央憲兵サネスを拷問していた(数時間前)

レイス家が本当の王家だと明かされる

ヒストリア・レイスを女王に即位させようと決めた(現在)

 

というように話が動いて行きました。

殺し合いはせずに、今の王を真の王家であるレイス家に替えるということでクーデターの方針が固まりました。そのレイス家の血をひいているのがヒストリアなので、ヒストリアに女王になってもらうというのです。

 ロッド・レイスとの対話

そしてシーンはクーデターの具体的な作戦会議に移ります。

調べによると壁の中の最高権力者はヒストリアの父ロッド・レイスであるということがわかりました。そこで、彼を捕らえて対話を実現させようとします。本当にクーデターを起こすべきなのか。王政やり方には何か納得できるだけの理由があるのかどうかということの最終確認のためです。

この時点ではまだはっきりしていません。拷問した中央憲兵のサネスたちは王に忠誠を誓っていて必死に秘密を守ろうとしていました。自分たちの損得のためではない様子で、何か理由がありそうにも見えましたが、どうなんでしょうか。 

作戦失敗... 

リーブス商会の会長は殺され、エレンとヒストリアは連れ去られてしまいました。それと同時にハンジとエルヴィンの会話です。ここではユミルとベルトルトとの会話から

  • 巨人化できる人間を巨人が食べると、巨人化できる人間になれる

という重要な事実が分かりました。巨人化の力は継承できるということです。エレンを食べた巨人は、ただの知性のない巨人からエレンのように人間になったり、巨人化したりできるようになりということです。

そして、エルヴィンは「レイス卿の領地の報告書」をハンジに渡しています。この報告書が結構重要なのですが、内容が明かされるまでだいぶ間が空きます。今14巻の真ん中あたりですが、次にこの報告書が出てくるのが15巻の後半です。いろんな伏線を用意したり、時間がさかのぼったり。一回読んだだけでは分かりにくかったりもしますが、だからこそ進撃の巨人は読み応えがありますね。

殺人の罪を着せられた調査兵団

その後、リーブス商会の会長を殺したのは調査兵団であるという疑いをかけられます。

  • 調査兵団活動停止
  • 兵団全員に出頭を命ずる

という強い圧力がかかりました。

本当にリーブス商会の会長を殺したのは中央憲兵でした。王政の圧力で調査兵団を消滅させようとしている様子が伺えます。この場合、権力を持っているのは王政なので疑いを晴らすのは大変そうです。新聞などで報道されればみんな信じてしまいますし、どの兵団も王政の指示に従うので、指名手配されたら調査兵団以外の兵士から追われることになります。そいういえば24のジャックバウワーもよく罪をかぶせられて追われますが、いつも苦労してなんとか晴らしています。調査兵団はどうやって無実を証明するのでしょうか。。。

最後は...

その後、リヴァイたちはケニーらの対人部隊と交戦します。

最後は、エレンとヒストリアが運ばれていた棺のフタが開き、そこにはロッドレイスがいました。この終わり方がまた謎の残る終わりで、ロッドレイスは悪いやつなのかそうじゃないのかまた分からなくなりました...というところで14巻は終わります。この先のストーリーは15巻へと続きます。